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ブログ2題:「おれおれ詐欺」と「失われた20年」

「おれおれ詐欺」なんていう話は他人事だと思っていましたが、そうでもありませんでした・・・。

2月2日(火)のことですが、珍しく早めに帰宅しますと、20時頃に電話がかかってきたので、何気なく受話器をとりますと、なんといきなり男性の声で「あ、お父さん!」と親しげに言うではありませんか!
「お父さん」と呼ばれる筋合いはさらさらないので、即座に「お父さんて誰のことですか?」と問い返すと、あっという間に電話が切られました。一瞬何が起こったのか分かりませんでしたが、ああ、これが「おれおれ詐欺」かと気がついた次第です。うーん、まことに不愉快!

改めて、こうした新手の犯罪の跋扈を思い知らされましたが、グローバリゼーションと情報化の進展とともに進行する、社会病理の深刻化には気が滅入ります。諸個人の孤立の深まりを背景とした「だまし」の横行という世相に示されているのは、自分の欲望の実現のためには、他者の心はおろか、命までもかえりみない、最悪のメンタルモデルが支配する世界の現実の一つの側面でありましょう。

そういえば、2月2日の夕刊の経済記事では、我が国の2009年の平均月間給与が、ボーナスや残業代も含めて、一人当たり31万5164円で、前年比で3.9%の減少だと報じられていました。(厚生労働省勤労統計調査)。
これは、過去最大の減少幅で、1990年以降での最も低い金額だということです。我が国の勤労者の所得は、この20年間で、上昇するどころか、下降したというわけです。1990年という年は、東西冷戦の終結を象徴する東西ドイツ統一の年でした。これを機に、世界は一気にグローバル化へと向かい、中国・インドなど新興国の台頭、欧州統合の進展、カジノ資本主義の跋扈を伴いつつ、2008年秋に始まる金融恐慌へと帰結したわけです。
この間、我が国はこうした状況の変化に十分に対応できずに、いたずらに貧困と格差を増大させてきました。「失われた20年」と称されるゆえんです。

とはいえ、求められているのは、「新しい成長戦略」ではありません。経済成長(GDPの増大)が人々
の幸福に結びつく時代が、とっくの昔に終わっていることは、今日の日本の現実を偏見をもたずに眺めれば歴然としています。良くも悪くも、世界経済の国境を越えた一体化は避けられませんが、既に
70億人に及ぶ人類の経済生活の現状は、地球の資源と環境の限界を超えてしまいました。実も蓋もなく端的に言ってしまえば、日本や欧米といった「先進諸国」の、「物としての商品の所有・消費」という意味での「成長」はもはや不可能です。
だとすれば、これから始めるべき「構築の10年」の戦略は、「脱成長という条件下における幸福の実現」の他にはないと思われます。要約すれば「支配と差別の社会から、つながりと思いやりの社会へ」と表現できるでしょうか。このことについての人々の気づきは、速度を増しながら拡大していくでありましょう。それはとりもなおさず、「おれおれ詐欺」に象徴される社会的・精神的病理と対じする「新しい公共」(鳩山首相の所信表明演説)の立ち上がりを担うメンタルモデルの生成と拡大を意味します。
まことに、「新しい公共」の実現に向かう、私達一人一人の思いが問われます。  (角田 記)

* 画像は、時に不愉快な情報を伝えるわが家の電話器ですが、もちろん普段は楽しいメッセージ
  を届けてくれます(^^; ちなみに、右端の写真は、7年半前に20才4ヶ月であの世に旅立った
  愛娘(猫です・・・)のぶち子です。